本と映画と、少し寄り道

小説と映画の感想文をゆるゆると。

2025-01-01から1年間の記事一覧

“その街に合った書店”が消えていく 信じたい未来への希望

誕生日に訪れた自由が丘で、思い出の本屋「不二屋書店」の閉店を知った。街の本屋がなくなる現実と向き合い、本との新しい関係を考えるエッセイ。

『この夏の星を見る』は大人にこそ響く|辻村深月が描く「好き」を信じる力【映画化】

辻村深月『この夏の星を見る』を読んだ感想。コロナ禍が舞台だが本質は「好き」への情熱を描いた青春小説。オンラインで繋がる中高生の純粋な友情に心が震える。7月4日映画化記念レビュー。大人にこそ読んでほしい理由とは。

向田邦子賞『マイダイアリー』兵藤るり脚本の魅力 清原果耶&佐野勇斗の繊細な演技

第43回向田邦子賞を受賞した『マイダイアリー』脚本の兵藤るり。清原果耶主演のヒューマンドラマを毎週リアルタイムで視聴した筆者が、兵藤るり脚本の美しい言葉と清原、佐野勇斗ら俳優陣の魅力を語る。

山本文緒『恋愛中毒』感想|再読で見えた“狂気の恋”の怖さと切なさ

山本文緒『恋愛中毒』の感想。高校生・大学生・社会人と年齢を重ねるたびに再読すると、物語の見え方が大きく変わる作品だった。狂気的な恋愛に震えつつも、過去に囚われる水無月の姿に共感も恐怖も覚えた。

梅雨に読みたい意外な本3選|雨の日の気分を変える名作 

梅雨の季節におすすめの本を3冊厳選。山田詠美『ぼくは勉強ができない』、江國香織『きらきらひかる』、綿矢りさ『ひらいて』で雨の日の読書を特別な時間に。一般的な梅雨本とは違う独自の視点での選書を解説します。

『世界99』上巻感想|村田沙耶香が描く独特な世界観 “本当の自分”とは?(ネタバレなし)

村田沙耶香『世界99』上巻の感想。芥川賞作家が描く世界の分裂とは?主人公の「呼応」と「トレース」を日常体験と結びつけて考察。難解だけど引き込まれる理由と下巻への期待を率直にレビュー。

【5月に読んだ本・パート2】殊能将之、斜線堂有紀、川上未映子…視点・共感・後悔について考えた物語たち 

5月が終わり、6月に入った。毎年「春はどこにいったんだろう?」と思いつつも、今年の春はまだ春らしさが残っていたとも感じる。6月に入るともういよいよ夏の足音が近づいてくる。私は夏が嫌いだ。でも、夏にする読書は好きだ。夏の読書はいつもコロナ禍を思…

【5月に読んだ本・パート1】心に残った3冊と、静かに揺れた感情たち

5月は仕事をしたり福岡へ旅行に行ったり、忙しい月で充実した月だった。1年の中の5月って、さわやかだけどなんとなく不安だ。フリーランスで働いているため、新生活の不安とはもう何年も無縁だが、シャキッとしたスーツや制服を着ている人たちを街のあらゆる…

【読書感想・書評】川上未映子『春のこわいもの』ーー後悔を抱いて生きていくということ

「何もないのに、何かがあったわけでもないのに、胸がいっぱいで、それはたぶんきみのことを考えているからで、きみのことを考えるとなぜこんなに涙が出てしまうのかは、わたしにもわかりません」。 この文章に、とんでもないほど胸を掴まれてしまって、この…

“静かな狂気”に惹かれる――心に残る恋愛小説3選

定期的に恋愛小説が読みたくなる。しかも、甘い小説ではなくて、片思い系のじくじくするもの。先日、“初恋”について人と話す機会があった。初恋というと、かわいらしい小学生の頃の初恋を思い出しがちだが、私がいつも思い出すのは高校生の頃の恋愛だ。あの…

“閉じられていて、拓かれている場所”──私にとっての文喫の話

気になるニュースが入ってきた。日本出版販売株式会社の子会社である株式会社ひらくは、“本と出会うための本屋”「文喫」史上最大規模の店舗面積となる1,000坪超の大型店舗『BUNKITSU TOKYO(ブンキツ トーキョー)』を、2025年9月12日(金)に開業するニュウ…

「この本、きっと私に向けて置かれていた」──『対岸の彼女』と、書店とことばの話

株式会社文藝春秋が発行する、角田光代の長編小説『対岸の彼女』(文春文庫)が、大手書店チェーンの大型店舗で文庫年間売上第1位(2024年)になるなど、直木賞受賞後20年を経て異例のロングセラーに。5月9日時点で、電子・紙合わせて90万部を突破しているそ…

『君の顔では泣けない』芳根京子×髙橋海人で実写化 好きな小説が“映像”になるとき思うこと

名刺代わりの小説10選にも選んでいる君嶋彼方さんによる小説『君の顔では泣けない』が実写化する。この作品は私にとってちょっと特別で、単行本で購入した後、文庫になったときも購入した本だ。そのくらい、好きで心を掴まれた作品だった。“男女入れ替わりも…

【読書感想・書評】斜線堂有紀『愛じゃないならこれは何』 好きになるって、どうしてこんなに苦しいの?胸が抉られた短編集

恋愛の記憶は、どうしてこんなにも心を抉るのだろう。それが片思いであればなおさらだ。気持ちを伝えなかった片思い、気持ちを伝えてダメだった片思い、伝えるところまでいかなかった片思い。その記憶は、頭の奥の方に埋まっているはずなのに、いとも簡単に…

【読書記録】【2025年4月に読んだ本・パート2】印象に残った小説3冊を紹介

4月に読んだ本後半戦です!5月はなかなか本が読めなさそうなので、こういうまとめ編の更新が多くなりそう。小説も投稿できるようにがんばりたい所存。 ①『彼女がそれも愛と呼ぶなら』/一木けい 彼女がそれも愛と呼ぶなら (幻冬舎文庫) 作者:一木けい 幻冬舎…

【4月に読んだ本・パート1】ついに読んだ名作&再読の楽しさを知った月

早いものでもう5月。ゴールデンウィークも祝日も関係ない仕事をしているため、特にどうということはないが、最近の私は読書とChatGPTに助けられている。とにかく誰かにアウトプットしたいとき、本のキャラクターを深堀りして話したいとき、すぐにChatGPTに話…

【読書感想・書評】芥川賞『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子 「おいしい」の価値観

先日推しのライブがあり、名古屋に行った。名古屋といえば名古屋めし。手羽先、味噌煮込みうどん、串カツ、天むす…そんな想像を巡らせて行ったのに、食べたものは申し訳程度の手羽先2本と、スターバックスの石窯フィローネと、ます寿司のおにぎりだけだった…

【創作・ショートショートショート】アイドルとファンの短編小説 #6『握手の先』-彼女と彼-

早いもので!次回から話がぐっと展開していく…予定です。 ここまでちゃんと長いこと向き合って書いてるいるのは初めてで、完成できるか若干不安です。応援よろしくお願いします。(笑) 前回のものはこちらから。 alittledetour.hatenadiary.jp #6『握手の先…

【読書感想・書評】『護られなかった者たちへ』中山七里 「助けて」はきっと誰かの勇気になる

かつて、ここまで読むことが苦しい小説があっただろうか。『殺戮にいたる病』は、描写のあまりのグロテスクさに途中で本を閉じることが何度もあったが(最後まで読み、おもしろかったし読んでよかったとは思った)、息ができなくなりそうなくらいに苦しくな…

【読書感想・書評】『八日目の蟬』角田光代 やるせなさと切なさの中に感じる人間の力強さ

忘れられない小説というものがある。その1冊は絶対に山本文緒さんの『恋愛中毒』なのだが、今から書く角田光代さんの『八日目の蟬』もそのひとつだ。この本は、私が読書を再開してから割と序盤に読んだ本で、読みながらすごくアドレナリンが出たというか、興…

【創作・ショートショートショート】アイドルとファンの短編小説 #5『握手の先』-彼女と彼-

やってまいりました月曜日!これで半分くらいかなぁ、と思います。始めたはいいけど結末に悩んでいます。笑 #5『握手の先』彼女 大学の授業前、スマホを見つめていると、友人に声をかけられた。「なんか悩んでんの?」という言葉に「え、なんで?」と返すと…

【読書感想・書評】『ひとりでカラカサさしてゆく』江國香織 忘れられない人はいますか?

私が江國香織さんの小説と出会ったのは、高校生の頃だ。私には当時でいう“メル友”がいた。そのときに好きだったアイドルを語る掲示板で知り合った、北海道の女の子。メールのやり取りもしたし、手紙のやり取りもしたし、チャットのやり取りもした。 その頃の…

【読書感想・書評】『彼女がそれも愛と呼ぶなら』一木けい その愛、わかってほしいですか?

今日の帰り道、近所で男性同士が恋人繋ぎをして親密そうに話している場面を見かけた。少し前…といっても10年ほど前だったら、驚いたかもしれない。しかし私は今日、大して驚くこともなく、彼らの前を通り過ぎた。ただ、こうやってブログの冒頭に書いていると…

【創作・ショートショートショート】アイドルとファンの短編小説 #4『交差点の彼』-彼女と彼-

続いてる!続いてますよ!もう4ターン目ですよ!!!これはもしかしたら結末までいけるかもしれない。今回は前回の彼サイドです。 #1〜#3はこちら! alittledetour.hatenadiary.jp alittledetour.hatenadiary.jp alittledetour.hatenadiary.jp #4『交差点の…

【読書感想・書評】『星屑』村山由佳 ステージの上で輝く星

私には推しがいる。思えば小学生の頃から誰かを推してきた。今の推しは4年前に好きになったアイドルで、今まで応援していた事務所ではなく、初めて好きになった他の事務所のアイドルだ。 彼だけではなくて、今まで好きになってきた人全員に思うことではある…

【本紹介3選】春に読みたいおすすめ小説たち

そろそろ3選とか5選の紹介もしていきたいなぁと思う今日この頃。季節によって読みたい小説ってちょっと変わりますよね。みなさんのおすすめを知りたいのですが、まずは自分がやってみないと!ということで、私がおすすめする春に読みたい本たちを紹介します…

【創作・ショートショートショート】アイドルとファンの短編小説 #3『交差点の彼』-彼女と彼-

早いもので、もう3ターンめ!今回は少し長めなので彼女サイドのみ更新します。街中で芸能人に会ったことありますか?私は笑福亭鶴瓶さんを2回見かけたことがあります。なんの変装もしていなくて、修学旅行生と思われる子たちにニコニコ対応していたのが印象…

【読書感想・書評】『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午 一気読み必至のミステリー小説

紀伊國屋書店で、あるポップを見つけた。 「まだ読んだことのない人のために、ここに置いておきます」 一言一句詳しく覚えているわけではないが、こんな内容だった。そこに平積みされていた本は「葉桜の季節に君を想うということ」。この本は絶対に毎年Xのタ…

【3月のまとめ】3月に読んだ本たち 名刺代わりの1冊に入れたい本に出会えた1ヵ月

3月が終わった。3月ははてなブログを始めたり、TikTokを始めてみたり、何かと新しいことに挑戦することが多かった。挑戦は大切なことだと思って生きているけれど、そもそも私は新しいことを始めるのが得意ではない。新しい職場とか、新しい人間関係とか、結…

【読書旅】関東で行ってみたブックカフェたち 本との出会いの場

高校の図書室が好きだった。私の出身の高校は、海の近くにあった。空がとにかく広くて、赤い電車が通っている少し田舎風の町。私はこの町が大好きだった。高校の図書室には自習できるスペースがあった。本を読んでもいいし、勉強をしてもいい。空き時間や放…