本と映画と、少し寄り道

小説と映画の感想文をゆるゆると。

書評

【読書感想】湊かなえ『暁星』|これは愛の物語だ

湊かなえ『暁星』のレビュー。宗教二世を取り巻く苦悩や葛藤を描く作品でありながら、とてつもない愛の物語。誰かを愛し、信じる自分の心を、もっと信用してみたくなる。

『植物少女』朝比奈秋――静寂の中にある「生きる」ということ

朝比奈秋『植物少女』は、植物状態の母と娘の静かな時間を描く物語。淡々とした筆致の中で浮かび上がる“生きる”という行為の本質に、思わず自分の記憶が重なる。祖母との日々を思い出しながら、生と死の間にある「命の手ざわり」を見つめた。

渡辺優『アイドル 地下にうごめく星』レビュー|夢は呪いか、それとも希望か

渡辺優『アイドル 地下にうごめく星』の感想。宝塚を夢見た楓やアイドルに魅せられた夏美たちの姿を通して、「夢と現実」を描く物語のリアルに迫る。

【読書感想】綿矢りさ『オーラの発表会』ー少し変わった女の子・海松子から学ぶ人との距離感

綿矢りさ『オーラの発表会』レビュー。変わり者の主人公・海松子を通して、「マイペース」と人との距離感、他人と関わることで広がる世界について考える。

【読書感想】朝井リョウ『武道館』と現実のアイドルー儚さに価値を見出してしまう美しい残酷さ

朝井リョウ『武道館』が描く女性アイドルの葛藤は、10年経った今も変わらない。理性では問題だと思いながらも、その儚さに魅力を感じてしまう複雑な心境。

朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』書評|視野の広さと狭さ、信じる力について考える

朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』書評。孤独を抱える人々が“信じるもの”にすがる姿を通じて、視野の広さと狭さ、信じることの救いと危うさについて考えた。

太宰治『女生徒』感想|少女の自由な思考が見せてくれる“日常の物語”

太宰治『女生徒』感想。86年前に描かれた少女の一日から見えてくる「自由な思考」と「日常の物語」。歴史と今をつなぐ太宰文学の魅力を考察します。

【読書感想】綿矢りさ『嫌いなら呼ぶなよ』|“明るすぎる闇”をまとう私たち

整形もファッションもSNSも――私たちは“鎧”をまとって生きている。綿矢りさ『嫌いなら呼ぶなよ』が描く「明るすぎる闇」を持つ人たち。

推し活のリアルを描くおすすめ5冊|キラキラだけじゃない「推す」ことの物語

推し活は楽しいだけじゃない。虚しさや痛みも抱えながら、それでも好きでい続ける――そんな“アイドル”と“ファン”のリアルを描いた小説を5冊紹介。推し活ブームに少し居心地の悪さを感じている人にもおすすめです。

【実写化】早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』感想 競馬を知らなくても夢中になれる“大人の青春”

競馬の話だと思い込み、手に取るのをためらっていた『ザ・ロイヤルファミリー』。しかし読み進めるほどに“大人の青春”の熱に圧倒された。競馬を知らなくても心震える感動と継承の物語。2025年10月期日曜劇場で実写化。

夏目漱石『こころ』感想とあらすじ|先生の遺書に描かれた恋と後悔

夏目漱石『こころ』感想。前半のゆるやかな展開と、後半の『先生の遺書』で明かされる恋と後悔。100年以上前の物語に今も共感できる、人間の心の本質とは。

佐原ひかり『人間みたいに生きている』感想|食の価値観が揺さぶる物語

佐原ひかり『人間みたいに生きている』感想。食べることが苦痛な唯の姿から、“わかる”という共感の傲慢さ、人との違いを考えさせられる物語。

村山由佳『PRIZE』感想|承認欲求は本当に悪いこと?

村山由佳『PRIZE』は化け物級の小説!直木賞への執念を描く作家・天羽カインの物語に圧倒された読書体験をレビュー。承認欲求は悪いことなのか?人との距離感とは?現代社会への鋭い問題提起も含む傑作小説の魅力。

【実写化】『ブラック・ショーマン』原作感想|福山雅治キャストで見えた新しい読書体験

実写化作品の原作を読むのが苦手だった私が『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』で体験した"福山雅治効果"とは?東野圭吾の最新作を福山雅治・有村架純主演映画化決定後に読んだ率直な感想。

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』感想|AI時代だからこそ響く人間の唯一無二性

ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの『クララとお日さま』を現代のAI技術の視点から考察。人工知能と人間の愛情、ChatGPT時代だからこそ響く名作の魅力を深く読み解きます。

早見和真『八月の母』書評|家族の『鎖』と『呪い』から自分の人生を取り戻すということ

早見和真『八月の母』の書評。家族の愛情が「鎖」や「呪い」になる現実を、実体験を交えて考察。門限の記憶から考える家族関係の複雑さと、自分の人生を生きることの意味について。

三島由紀夫『金閣寺』は難しすぎた|それでも読み切れた理由と現代に通じる美意識

三島由紀夫の『金閣寺』の感想を正直に告白。難解な文学作品を通して感じた「失われる美」への執着を、現代のアイドル体験と比較しながら解説。「わからない」も立派な感想という読書論も展開する。

川上未映子『ヘヴン』感想ー「世界」の複数性が問いかける「善とは何か悪とは何か」

紫式部文学賞受賞・ブッカー国際賞ノミネート作品『ヘヴン』川上未映子の書評。いじめを受ける「僕」とコジマの物語から見える「世界」の哲学。苦しみは耐えるべきか、逃げるべきか。読後に身震いする深い問いかけ。

太宰治『斜陽』あらすじと感想―没落貴族かず子が教える『変わりたい』という願い

太宰治『斜陽』を読んだ率直な感想。敗戦後の没落貴族を描いた本作は、時代の変化についていけない者と必死に変わろうとする者の物語。かず子の「不良になりたい」という言葉に込められた切実な願いと、現代にも通じる直治の苦悩を通して見える太宰文学の魅…

金原ひとみ『アンソーシャル ディスタンス』感想|限界一歩手前で生きる女性たちの物語

金原ひとみ『アンソーシャル ディスタンス』を読んだ感想。ストロングゼロ、整形、不倫に頼る女性たちを描いた5編の短編集。人との距離感に悩んだ震災時の体験と重ね合わせながら、限界一歩手前で生きる女性の心理を分析。

太宰治『人間失格』を初めて読んだ感想|77年前の絶望が現代のSNS時代に響く理由

太宰治『人間失格』を初めて読んだ感想。1948年の作品なのに現代のSNS時代に通じる葉蔵の「道化」や堀木の匿名性など、77年前の絶望が今も響く理由を分析。日本文学科卒が今更読んで驚いた古典文学の現代性とは。

『この夏の星を見る』は大人にこそ響く|辻村深月が描く「好き」を信じる力【映画化】

辻村深月『この夏の星を見る』を読んだ感想。コロナ禍が舞台だが本質は「好き」への情熱を描いた青春小説。オンラインで繋がる中高生の純粋な友情に心が震える。7月4日映画化記念レビュー。大人にこそ読んでほしい理由とは。

山本文緒『恋愛中毒』感想|再読で見えた“狂気の恋”の怖さと切なさ

山本文緒『恋愛中毒』の感想。高校生・大学生・社会人と年齢を重ねるたびに再読すると、物語の見え方が大きく変わる作品だった。狂気的な恋愛に震えつつも、過去に囚われる水無月の姿に共感も恐怖も覚えた。

『世界99』上巻感想|村田沙耶香が描く独特な世界観 “本当の自分”とは?(ネタバレなし)

村田沙耶香『世界99』上巻の感想。芥川賞作家が描く世界の分裂とは?主人公の「呼応」と「トレース」を日常体験と結びつけて考察。難解だけど引き込まれる理由と下巻への期待を率直にレビュー。

【5月に読んだ本・パート1】心に残った3冊と、静かに揺れた感情たち

5月は仕事をしたり福岡へ旅行に行ったり、忙しい月で充実した月だった。1年の中の5月って、さわやかだけどなんとなく不安だ。フリーランスで働いているため、新生活の不安とはもう何年も無縁だが、シャキッとしたスーツや制服を着ている人たちを街のあらゆる…

【読書感想・書評】川上未映子『春のこわいもの』ーー後悔を抱いて生きていくということ

「何もないのに、何かがあったわけでもないのに、胸がいっぱいで、それはたぶんきみのことを考えているからで、きみのことを考えるとなぜこんなに涙が出てしまうのかは、わたしにもわかりません」。 この文章に、とんでもないほど胸を掴まれてしまって、この…

『君の顔では泣けない』芳根京子×髙橋海人で実写化 好きな小説が“映像”になるとき思うこと

名刺代わりの小説10選にも選んでいる君嶋彼方さんによる小説『君の顔では泣けない』が実写化する。この作品は私にとってちょっと特別で、単行本で購入した後、文庫になったときも購入した本だ。そのくらい、好きで心を掴まれた作品だった。“男女入れ替わりも…

【読書感想・書評】斜線堂有紀『愛じゃないならこれは何』 好きになるって、どうしてこんなに苦しいの?胸が抉られた短編集

恋愛の記憶は、どうしてこんなにも心を抉るのだろう。それが片思いであればなおさらだ。気持ちを伝えなかった片思い、気持ちを伝えてダメだった片思い、伝えるところまでいかなかった片思い。その記憶は、頭の奥の方に埋まっているはずなのに、いとも簡単に…

【読書記録】【2025年4月に読んだ本・パート2】印象に残った小説3冊を紹介

4月に読んだ本後半戦です!5月はなかなか本が読めなさそうなので、こういうまとめ編の更新が多くなりそう。小説も投稿できるようにがんばりたい所存。 ①『彼女がそれも愛と呼ぶなら』/一木けい 彼女がそれも愛と呼ぶなら (幻冬舎文庫) 作者:一木けい 幻冬舎…

【読書感想・書評】芥川賞『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子 「おいしい」の価値観

先日推しのライブがあり、名古屋に行った。名古屋といえば名古屋めし。手羽先、味噌煮込みうどん、串カツ、天むす…そんな想像を巡らせて行ったのに、食べたものは申し訳程度の手羽先2本と、スターバックスの石窯フィローネと、ます寿司のおにぎりだけだった…