本と映画と、少し寄り道

小説と映画の感想文をゆるゆると。

書評

【読書感想・書評】『護られなかった者たちへ』中山七里 「助けて」はきっと誰かの勇気になる

かつて、ここまで読むことが苦しい小説があっただろうか。『殺戮にいたる病』は、描写のあまりのグロテスクさに途中で本を閉じることが何度もあったが(最後まで読み、おもしろかったし読んでよかったとは思った)、息ができなくなりそうなくらいに苦しくな…

【読書感想・書評】『八日目の蟬』角田光代 やるせなさと切なさの中に感じる人間の力強さ

忘れられない小説というものがある。その1冊は絶対に山本文緒さんの『恋愛中毒』なのだが、今から書く角田光代さんの『八日目の蟬』もそのひとつだ。この本は、私が読書を再開してから割と序盤に読んだ本で、読みながらすごくアドレナリンが出たというか、興…

【読書感想・書評】『彼女がそれも愛と呼ぶなら』一木けい その愛、わかってほしいですか?

今日の帰り道、近所で男性同士が恋人繋ぎをして親密そうに話している場面を見かけた。少し前…といっても10年ほど前だったら、驚いたかもしれない。しかし私は今日、大して驚くこともなく、彼らの前を通り過ぎた。ただ、こうやってブログの冒頭に書いていると…

【読書感想・書評】『星屑』村山由佳 ステージの上で輝く星

私には推しがいる。思えば小学生の頃から誰かを推してきた。今の推しは4年前に好きになったアイドルで、今まで応援していた事務所ではなく、初めて好きになった他の事務所のアイドルだ。 彼だけではなくて、今まで好きになってきた人全員に思うことではある…

【読書感想・書評】『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午 一気読み必至のミステリー小説

紀伊國屋書店で、あるポップを見つけた。 「まだ読んだことのない人のために、ここに置いておきます」 一言一句詳しく覚えているわけではないが、こんな内容だった。そこに平積みされていた本は「葉桜の季節に君を想うということ」。この本は絶対に毎年Xのタ…

【読書感想】柚木麻子『早稲女、女、男』 あのときの自分を思いっきり抱きしめてあげたい

大学時代を思い出すと、あまりにも痛い自我も一緒に思い出してしまって、顔がカーっと熱くなる。あのときの私は、なんであんなにも頑なで融通がきかなくて、『自分だけは違う』と思い込んでいたんだろう。『早稲女、女、男』はそのときに自分を思い出すには…

【読書感想】一穂ミチ『恋とか愛とかやさしさなら』誰もが考える「自分だったらどうするだろう?」

『光のとこにいてね』で大っっっっっっ好きになった一穂ミチさん。本屋大賞にノミネートされた『恋とか愛とかやさしさなら』。あらすじを読んで大体わかっていたというか覚悟して読んだけど、私にはその覚悟が足りなかったようだ。途中でものすごくしんどく…

【実写化】遠藤かたる『推しの殺人』感想|私たちが知っているのは推しのほんの一部分

田辺桃子&横田真悠&林芽亜里のトリプル主演で実写化決定。注目の遠藤かたる『推しの殺人』原作の感想。アイドルが殺人を犯してしまうスリリングな展開から目が離せない。

【読書感想】小林早代子『アイドルだった君へ』あなたにとって“推し”はどういう存在ですか?

あなたには、推しがいるだろうか。「推し」という言葉はいまやかなり便利な言葉になり、相手がアイドルではなくても、それこそ物でも「推し」という言葉を使うことがある。『舟を編む』で読んだ、言葉が成長するということを思い出す。 アイドルだった君へ(…

【読書感想】島本理生『週末は彼女たちのもの』恋の終わりも始まりも、キラキラと切なさの詰め合わせ

島本理生さんの恋愛小説が好きだ。中でも大好きなのは、名刺代わりの小説にも挙げている『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』。いろいろとシリアスな場面もあるのだけれど、私がこの小説で一番好きなのは「おいしいものを好きなひとと食べる幸せ」を…

【読書感想】染井為人『滅茶苦茶』 コロナ禍を生きる3人の“滅茶苦茶”な生き様

染井為人さんの書く小説にどっぷりハマっている。 私が染井さんの本を初めて手に取ったのは、日本アカデミー賞を総なめにした映画『正体』の原作『正体』だ。もともと横浜流星さんの演技が好きで、あらすじを見ておもしろそうだったので、映画を見る前に原作…

【読書感想】貴志祐介「新世界より」 頭が物語に支配される小説

2記事目は何を書こう、と悩んでAIにまで相談をした。私の好みをバクバク食べたAIが導き出してくれたのは、文句なしの1冊だったのに、私はそのAIちゃんを無視して2記事目に取り組んでいる。もちろん、AIちゃんが出してくれた答えの本のことも、いつか書く。で…