2記事目は何を書こう、と悩んでAIにまで相談をした。私の好みをバクバク食べたAIが導き出してくれたのは、文句なしの1冊だったのに、私はそのAIちゃんを無視して2記事目に取り組んでいる。もちろん、AIちゃんが出してくれた答えの本のことも、いつか書く。でもそれは今ではない。
今回話していこうと決めたのは、貴志祐介さんの「新世界より」。とりあえずあらすじを紹介しよう。
貴志祐介「新世界より」
ここは病的に美しい日本(ユートピア)。子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。社会を統べる装置として。
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。(講談社より)
そもそも私はSFが好きだ。映画でいうと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はもちろん、MARVEL作品も大好きだし、タイムトラベル系も大好きだ。そんな私がこのあらすじを見て、心踊らないわけがない。
さて、この「新世界より」。上中下巻の3部作で、厚さにするとこれくらい。

見ての通り、ものすごく分厚い。
上巻は世界観のインプット!中盤から一気読み
このときの私は長編にどっぷりとハマりたい気分だった。しかし、包み隠さずに書くと上巻を少し進めた段階で後悔した。おやおやおや…?おもしろく…ない??いや、おもしろいはずだ。みんなおもしろいって言ってたもん!!
正確に言うと「おもしろくない」のではなくて「理解できない」「難しい」かもしれない。というのも、この物語は、そもそもの世界観を理解していないと後半がつらくなる。前半は、主にこの世界で起こることやこの世界の習わし、みたいなものがメインで描かれているため、あまり話が進まない。
私は読書スピードは早い方で、一文字一文字を理解しながら読むというよりも、読んであらすじを掴んで、重要なところは戻って…という、少し効率重視よりの読み方なのだとこの本に出会って改めて思った。とりあえず情景を荒く絵に描いていくイメージ。この本に関しては私のような読み方ではなく、きちんとその情景を頭に浮かべて「そういうことね」「こういう風景ね」と、絵コンテを重ねていくようにする読み方のほうが向いているのかもしれない。そうやって情景をしっかりと思い浮かべながら読んでいけば、きっと前半もおもしろい。読書メーターで検索すると、やはり前半は苦労したと言っている人が多かった。でも大丈夫だから!!という彼らの言葉を信じて、ただただ読み進めていった。
物語が動くある起点みたいな箇所があり、そこからはもうおもしろくて一気にスピードが上がり、あっという間に読んだ。でもその前から、私の頭の中はずっと「新世界より」に囚われていた。夢にまで見た。やはり少し難しい場面もあったが、全部読み終わった後は鳥肌が立った。
物語の中心は主人公の早季を含めた5人の子どもたち。なんの疑問も持たず、注連縄で囲まれた町で平和に暮らしていた。しかし、あるものとの出会いから、知ってはいけないある事実を知る。その事実に近づくほど、彼らには危険が迫ってくる。
自分たちが信じていることは、誰かから与えられたことや、常識に過ぎない。例えば、日本では軽い罪でも、海外では大罪だった…みたいなことが起きるのも、「常識」が違うからだ。今私たちが住んでいるこの国や、ましてや地球も、本当は誰かに支配されていたら?私たちは監視されていて、何かの研究対象だとしたら?命の終わりが、もし全部仕組まれていたら?物語に触れていたせいもあるが、私はこのようなことを昔からよく考えていた。誰かに言うこともなく、文にすることもなく、ただただそんな妄想をしていて、たまに怖くて眠れなくなることもあった。
過去の私が、幼い頃の私が抱えていた恐怖みたいなものを煮詰めて煮詰めて煮詰めまくったものを読んだような感覚で、読み終わってからもしばらくはぼーっとしてしまったし、今も思い出すと少し恐怖を感じる。ちなみにホラー小説ではないし、間違いなくおもしろい。全編を通してうっすら後ろの方に流れている薄気味悪さや、何かがおかしいという違和感にぞっとしながらも、続きや真実が気になってくる。
そんな恐怖の中でも、子どもたちはお互いを思い、時に争い、それぞれの正義を持って行動する。みんな完璧ではなくて、自分勝手で、読んでいる側も「それする!?今!?」と思うときがあった。SFだけど、そういった人間のマイナス面はしっかりリアルだ。早季たちがたどり着く真実や争い、乗り越えていかなければならないことは、思わず目をそらしたくなることばかり。。自分の信じていることや常識が突然ひっくり返ったとき、あそこまで強くいられるだろうか。
「新世界より」は、「徹夜本」としても知られているらしい。私は2週間ほどで読み切った記憶があるけど、その間ずっと本当に脳みそを支配されていたので、まとまった時間に読めるときに読むことをおすすめする。時間が空いてしまうとなかなかあの世界観に戻れない気もする。ちなみに若干グロい描写もあるので、苦手な方は注意してください。でもどの描写も、この物語を構成する上で絶対に必要な描写だったなと思う。
私たちが生きているこの世界では、何が本当で何が嘘なのだろう。想像力を絶やさずに持って生きていきたい。そのために読書をしたり、映画を見たり、エンタメを摂取したりしているのかもしれない。この本、読んだ方たちの感想がとにかく知りたい。誰かこっそりでもこっそりでなくても教えてください。
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