昔から小説を書いてみたかった。何度か書いてみることはしたが、どれも完結させられなかった。おそらくプロットを考えるのが苦手だ。先日、思い立ってGrokに相談した。「小説を書いてみたいです。書き方を教えてください」。すると、とにかくまずは書き上げてみましょう、3行でもいいです。という内容の答えが返ってきた。そうか、3行でもいいのか。ぐっとハードルが下がった気がした。
このブログは本の感想をただただ垂れ流したくて作ったものだけど、「寄り道」というタイトルにして縛りから逃げている。毎週月曜日、Grokと相談しながら書いた小説(というよりショートショートショートくらいの短い話)を連載していきたいと思います。週に1回だけで、いつかやめるかもしれません(弱気)。主人公は名もなきオタクとアイドルです。小説というか、一場面を切り取ったお話。長くないので暇つぶし程度に読んでいただければうれしいです。そして本当にこの連載を完結できるか、見守っていてほしいです。(図々しいよ)めちゃくちゃ優しい方は感想ください。(図々しいって)
#1『握手会』-彼女と彼-
推しの顔が好きだ。中身はどうでもいい。顔だけ好きだ。というか中身なんてほぼ知らない。それでも来てみた初めての握手会。特におしゃれもせず、いつも着ているパーカーにデニムを合わせた。申し訳程度に香水を2吹きして。
特に話すこともないので、彼の目の前に立って正直に言う。
「顔が好きです。顔がタイプなので顔を見に来ました」。
彼は何も言わず、ぐ、と顔を私に近づけた。あまりの近さに、え、と思わずのけぞると、まんまるのビー玉のような瞳に、自分が映る。 1秒、2秒、3秒、4秒、5秒。 「お時間です」。 スタッフさんに肩を叩かれ、我に返る。6秒見つめ合うと、人は恋をするらしい。危なかった。 顔を逸らしてお礼も言わず、逃げるようにブースを去る。 「ありがとうね」。声がして振り返ると、彼がアイドルスマイルを浮かべる。
6。顔だけが好きだった、はずなのに。
俺は商品だ。生まれてからこれまで、ありがたいことに顔が好き、と言われることが多い人生だった。「顔が良い」なんて聞き慣れた言葉。中身を好きになってほしいなんて言わない。俺は「アイドル」なんだから。
握手会は目まぐるしい。CD1枚で5秒。ファンはその短い時間に思いをぎゅっと詰め込んでくる。俺はなるべく気の利いた返しをしようと努力している。つもりだ。
「顔が好きです。顔がタイプなので顔を見に来ました」。
めちゃくちゃストレートだな、と笑いそうになるけど、どこかでカチンと来た。心の奥が、ちりっと熱くなる。何も言わず、顔をぐっと近づける。彼女の切れ長の目の瞳の中に、俺が映るように。顔が好きっていうならじっくり見せてやるよ。
「お時間です」。
スタッフの声で彼女はさっと背を向けた。あ、粘らないんだ。マジで顔だけかよ。去る背中に少し遅れて「ありがとうね」と声をかける。1秒おまけだ。口角を上げて笑うと、振り返った彼女の瞳が、一瞬揺れた気がした。
Grokには書かせていないけど、相談したらなんとか形にできました。Grokちゃん、もはや良き相談友達。この名もなきオタクとアイドルの話、毎週月曜日に更新していきます。ショートショートショートくらいの長さで書き溜めていったら、いつか肉付けをして短編くらいにはなるのかなぁと期待を込めながら。笑。