そろそろ3選とか5選の紹介もしていきたいなぁと思う今日この頃。季節によって読みたい小説ってちょっと変わりますよね。みなさんのおすすめを知りたいのですが、まずは自分がやってみないと!ということで、私がおすすめする春に読みたい本たちを紹介します。
①『スモールワールズ』/一穂ミチ
あらすじ
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。
Amazonより引用
いまや超人気小説家、一穂ミチさんの短編集。
誰しもが見えない闇や、狡さを抱えている。一見順調に見える人や、憧れだなぁと思う人も、きっと何かしら抱えている。
そんなことに改めて気づかせてくれる短編集です。
綺麗事の物語では決してなくて、誰もが心のどこかに持っている優しさや狡さ、希望や諦めをあぶり出していくような物語でした。
リアルで痛くて切なくて、そんな人々が愛おしい、この人たちは、全員自分なんだと感じながら、明日も少しだけがんばって生きてみようかなという気持ちになります。ただ、別に明るい話の詰め合わせ、というわけではありません。
春だからといって、明るいお話ばかりを読むのは私はちょっと違う気がしていて。
私にとって春は、明るいイメージではなくて「不安定な時期」という印象が強いんですよね。新生活は、決してワクワクするだけのものじゃない。きっとどこかに、不安と戦いながら眠れない日々を過ごしている人もいるだろうなといつも感じています。
最近はXで新入社員の子や、彼らの扱いに慣れていない人たちの戸惑いのポストをよく見かけます。私は誰かと一緒に働く、というフェーズからは抜けているのですが、見るたびに、過去の自分を思い出して、そっとエールを贈りたくなります。
②『ハケンアニメ!』/辻村深月
あらすじ
「どうして、アニメ業界に入ったんですか?」
時間に追われる過酷な現場で、
目の前の仕事に打ち込む仕事人たちが、
追い求めるものはいったい何なのか?
監督・プロデューサー・声優・アニメーターたちが登場。
辻村深月が紡ぎ出す最高に刺激的なお仕事小説。1クールごとに組む相手を変え、
新タイトルに挑むアニメ制作の現場は、新たな季節を迎えた。
伝説の天才アニメ監督・王子千晴を口説いた
プロデューサー・有科香屋子は、早くも面倒を抱えている・・・。
同クールには気鋭の監督・斎藤瞳と
敏腕プロデューサー・行城理が手掛ける話題作もオンエアされる。
ファンの心をつかむのは
トウケイ動画「サウンドバック 奏の石」か?
スタジオえっじ「運命戦線リデルライト」か?
今クールも、熱き戦いが始まっている――。Amazonより引用
もうあらすじだけでおもしろいことはわかると思うのですが、とにかく笑えて泣けるtheお仕事小説。結構長編なのですが、そんなことは気にならないくらいにスラスラ読めます。登場人物は「好き」にまっすぐな熱い人たち。
この本を読むと、単純に「私も何かがんばりたい!!」というやる気がメラメラ湧いてくるんですよね。仕事に対してまっすぐ向き合っている、本気の人たちが出てくるので、それはどこか眩しくて羨ましい。私もこんなふうに、何かに夢中になってみたい。そんなことを実感できるお話です。
仕事は必ずしも楽しいことではなくて、仕方なく今の仕事に就いている人もいると思います。過去に私もそんな経験があります。そんな人にとってはもしかしたら苦しい話なのかもしれないけど、彼らを通してワクワクできる瞬間が、物語の中にだけでもあればいいな、と思います。
ちなみにこちら、実写化もされていまして、映画もとてもよかったです。思い描いた「ハケンアニメ!」の世界がそのまま表現されていたのでぜひ見てほしい。
③『ブラザーズ・ブラジャー』/佐原ひかり
あらすじ
父の再婚で新しい母・瞳子さんと弟・晴彦と暮らすことになった、高校1年生のちぐさ。ある日自宅で晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇。おしゃれだからブラが好きという彼を家族として「理解」しようとするが――?
Amazonより引用
今私が最も好きな作家さん、佐原ひかりさん。読んだことのない方は絶対に読んでほしい…!!かなり強くおすすめしたい。
あらすじだけ読むと結構アクが濃い話なのかな?と思うと思うんですが、とても軽やかでさわやかです。
新しい環境に行くと、自分の好きなものや自分らしさというものをどこまで出していいのだろうか?って戸惑う瞬間ってありますよね。「この人にどこまで言っていいんだろう」みたいな。逆に、好きじゃないものにつきあわなきゃいけない瞬間もあるかもしれない。本当は飲み会なんて好きじゃないのに、つきあいだから行かなきゃいけないし…みたいなね。
人間付き合いなので、多少の我慢は必要なのかもしれないけど、我慢ばかりは疲れてしまう。毎日精神削りながら学校や会社に行って、寝る前に憂鬱になっている人もいるかもしれない。
この物語に出てくる子は、自分の「好き」をいちばん大切にできる子です。自分がそうは生きれなくても、「わかるよ」とか「私もそうでありたいな」って考えるだけでも、少し心が軽くなりませんか?
「おれは、好きだって気持ちを大事にしたい。正しくなくても、合ってなくても、好き、を手放したくない。うそにしたくない。苦しみも悔しさも、嫌いになりそうな気持ちもぜんぶひっくるめて、好きなものを大事にしたい。それを好きだって思う、自分の気持ちを大事にして、生きていきたいんだ」
ワクワクするような、だけどちょっと不安定な春。少しでも心が軽くなりますように!
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