5月が終わり、6月に入った。毎年「春はどこにいったんだろう?」と思いつつも、今年の春はまだ春らしさが残っていたとも感じる。6月に入るともういよいよ夏の足音が近づいてくる。私は夏が嫌いだ。でも、夏にする読書は好きだ。夏の読書はいつもコロナ禍を思い出す。あのとき、家にいるしかなくて読書ばかりしていた日々。そんな日々ももう3年前。月日の流れは本当に早い。だからこそ、毎日楽しくご機嫌に生きていけたらいいなと思う。そんな中で出会った5月の本たちパート2。パート1は以下のリンクからどうぞ!
①ハサミ男/殊能将之
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。
(Amazonより引用)
5月、私はミステリを読みたくて読みたくて仕方なかった。そんなときに私のミステリ欲を満たしてくれた作品。名作とずっと言われていて、SNSでもよく目にした。分厚い本だったけど続きが気になって後半は一気読み。ただ、驚くべきところにあまり驚けなかった。そもそも結構序盤でそう理解していたため、結構納得をしながら読んでいた。
この話のおもしろいところは、犯人視点、警察視点など、視点がコロコロ変わるところだ。私はこの手の視点が変わる物語がとても好きだ。登場人物が多すぎるとわかりにくいものでもあるが、好きな理由は「どの立場に立つかによって自分の心が変わる」ということ。それって読書だけではなくて日常生活でもそうだ。「Aの立場に立てばそれは正義だし、Bの立場に立てば悪」。大げさな話ではなくても、そんな場面に何度も出くわしてきた。誰の味方をするか、誰に共感をするかで人の正義なんて簡単に変わる。でも、読書で学べることのひとつに「さまざまな視点」があると思う。その視点の違いをすんなりと理解できているのは、幼い頃から物語が近くにあったからかな、と思う。
本作の肝はやはり伏線回収でもあると思うが、私はある警察の男の心情が気になって仕方なかった。恐怖さえ抱いたので、他の人がどう感じていたのかがとても気になる。
②愛じゃないならこれは何/斜線堂有紀
斜線堂有紀のはじめての恋愛小説集。
/『愛について語るときに我々の騙ること』「俺さ、ずっと前から新太のことが好きだったんだ。だから、付き合ってくれない?」そういう男――園生が告白しているのは、私――鹿衣鳴花に対してだった。私たちの関係は、どこに向かおうとしているのか。男と男と女のあいだに、友情と恋愛以外の感情が芽生えることはあるのだろうか。
/『健康で文化的な最低限度の恋愛』美空木絆菜は死にかけていた。会社の新入社員、アクティブな好青年、津籠の気を引きたかった絆菜は、彼の趣味――映画にもサッカーにも、生活を犠牲にして一生懸命頑張って話を合わせた。そして今、絆菜は孤独に山の中で死ぬかもしれない。どうしてこんなことに。
/『ミニカーだって一生推してろ』二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃は、その日、男の部屋のベランダから飛び降りた。男といっても瑠璃と別に付き合っているわけではない、瑠璃のファンの一人で、彼女が熱心にストーカーしているのだ。侵入した男の部屋からどうして瑠璃が飛び降りたのか、話は四年前にさかのぼる――。など。
(Amazonより引用)
恋愛をテーマにした6篇の短編集。アイドル×ファンの恋愛をテーマにした「ミニカーだって一生推してろ」目当てに手に取った本だったけど、どの話も共感できる部分があって読みながらずっと胸が痛かった。そして恥ずかしかった。
これは決して作品の悪口ではなくて、私が過去に感じた感情がすべて言葉にされていると思ったから。過去の恋愛を振り返るのは愛おしいけど恥ずかしい。時間が進んである程度冷静に過去を振り返られるようになると、あの激情みたいなものが、本当に自分の中にあったのか?とまで思うことがある。でも、あったのだ。私の中に、ちゃんと。そんなことを思い出させてくれる話の数々だった。
別記事で細かく感想を書いているのでこちらもご興味あればぜひ読んでみてください。
③春のこわいもの/川上未映子
感染症大流行(パンデミック)前夜の東京――〈ギャラ飲み〉志願の女性、ベッドで人生を回顧する老女、深夜の学校へ忍び込む高校生、親友を秘かに裏切りつづけた作家。東京で6人の男女が体験する甘美きわまる地獄巡り。これがただの悪夢ならば、目をさませば済むことなのに。
目次
青かける青
あなたの鼻がもう少し高ければ
花瓶
淋しくなったら電話をかけて
ブルー・インク
娘について
(新潮社HPより引用)
川上さんの魅力がこれでもかと詰まっている短編集だと感じた。苦しくて、切なくて、でも救われて。私は川上さんの描く「好き」という感情にいつもとんでもなく揺さぶられる。
この作品には、すべてうっすら「後悔」が滲んでいる。後悔と向き合うことって怖くて、ざらざらして、逃げたくなる。自分の「後悔」なんて挙げたらキリがない。亡くなったおばあちゃんともっと話をしていたらよかったな、とか、もっと動画を撮っておけばよかったな、とか、もっとあのときちゃんと勉強していればよかったな、とか、本当に大きなことから小さなことまで山程ある。
でもたぶん、後悔のない人生は味気ないものだろう。後悔という苦さ・痛みがあるから、人はきっと人に優しくなれるし、同じ後悔をしないように気をつける。一番最近した私の後悔の話をしよう。推しと話せる特典会のとき、あまりにも体調が悪くて推しと上手に話ができなかったことだ。なんてくだらないんだろう…と見る人が見れば思うと思うけど、めちゃくちゃ後悔している。なんとなくノリでいけるだろ!とか謎に思ってしまった。ノリでいけない日もあるのだ。
今週末にまた推しとの特典会がある。今回はちゃんと話せるように、私はネタをちゃんと考えて、メモして、服装もヘアメイクも決めて、好きな人に会いに行く。あのとき後悔しなければ、私はまた上手に話せなかったかもしれない。そんな小さな後悔も胸に抱きしめて、私は好きな人に会いに行く。
こちらも別記事で細かく書いています。
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