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ZIP!東大生特集で思い出した『魔女の宅急便』|小学生時代に影響を受けた特別な一冊

「小学生のときに影響を受けた一冊」と聞いて、あなたはどんな本を思い浮かべるだろう。朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)で、「東大生が小学生のときに影響を受けた特別な一冊」という特集が放送されていた。興味深く見ながら、私の頭の中には、小学生のときに図書室で出会った、ある一冊の本が浮かび上がってきた。

 

ZIP!』での特集は、杉原凜アナウンサーが東大生にインタビューしていく方式だった。番組では複数の東大生が登場。はてしない物語を挙げた学生は「自分も人生の主人公だと気づいた」と語り、『世界で一番美しい元素図鑑』を挙げた学生は「世の中はシンプルにできている」と学んだという。

 

 

 

 

 

このように、幼い頃に触れた物事は、その後の人生に大きな影響を与える。今回の特集ではわかりやすく「東大生」という縛りがあったが、この世の中に生きている人たち全員が、幼い頃に触れたものから何かしらの影響を受けている。

 

「影響を受けた特別な一冊」。昔から本を読んでいる私は選べないと思っていたが、頭の中に一冊の本が浮かび上がった。思い出したのは本そのものだけではない。図書室でその本を見つけたときの風景や、何度もその本を借りるために書いた図書カードのことまで蘇ってきた。

 

 

 

私が小学生のときに影響を受けた本は、角野栄子さんの魔女の宅急便だ。3年生か4年生の頃に出会った本だと思う。その本は図書室のカウンターの近くの本棚の下段にあった。何を借りようと思って上から順に眺め、しゃがんで下段に目をやると、いつも読んでいる本よりも分厚い本に惹かれた。本棚から引き抜くと、そこにはかわいらしい魔女の絵があった。

 

魔女の宅急便』は、独り立ちした魔女の子・キキが、相棒の黒猫・ジジと喜び悲しみを共にしながら、町の人たちに受け入れられるようになるまでの一年を描いた物語だ。その頃の私がチャレンジしたことのない分厚さで、「読めるかな…」と不安になりながらも図書カードを書いたことを覚えている。内容はもちろんなのだが、「ちょっと無理してチャレンジしてみた」という経験が、私の思い出になっているのだと思う。

 

私には“ポンちゃん”というぬいぐるみの相棒がいて、彼とどこかに旅に出ることや、冒険することをいつも思い描いていた。ポンちゃんと行くならどこに行こうかな、とか、魔法が使えたらポンちゃんともしゃべれるのにな、とか、そんなことを考えながら生活していた。寝る時間よりも少し前に自分の部屋に行って、ポンちゃんとの対話の時間を作っていた。

 

そんな私にとって、魔女のキキと黒猫のジジの関係性は、とても憧れるものだった。正直かなり昔に読んだので、細かいストーリーは覚えていない。しかし、その頃の私の指針になったことは間違いなくて、何事もまっすぐなキキの姿を見て心が震えていた。

 

キキは決して強い女の子ではない。弱さもあり、しっかりしているのかしていないのかわからない。そんなキキの側にはいつもジジがいて、一緒に喜びと悲しみを分かち合ってくれる。私は魔法は使えないけど、チャレンジしていいし、失敗してもいいんだ、と思うことができた。

 

当時の私はとても繊細で引っ込み思案で、挑戦することが怖かった。「失敗したらどうしよう」という思いがずっと胸の底にあったし、友達も多くはなかった。しかし、キキの姿を見て、「新しい学年になったら積極的に人に話しかけてみよう」と思ったことを覚えている。キキは私に「チャレンジ」という魔法をかけてくれた。

 

私は「魔女の宅急便」を繰り返し借りて、繰り返し読んだ。図書カードには私の名前が続いていた。シリーズものだった気がするが、私は最初の巻を繰り返し読んでいた。はじまりはいつもドキドキワクワクして、私の心を震わせた。

 

今読んだらどんな気持ちになるのだろう。きっと、あの頃とはまた違う感情を持つのだと思うが、私がその本から学んだ芯のようなものは変わらないはずだ。人生は冒険で、人との関わり合い方で良くも悪くも変わる。挑戦して、失敗したっていい。キキがかけてくれた魔法は、私の中で今も続いている。

 

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